その結婚、ちょっと待った!




メーカーも殆どが休みだし、荷物を持って来るトラックも今日は少ない。


土曜日出勤は月に一度なんだけど、その日は普段にしたくても出来ない事をしてしまうんだ。


大和も社内に一時間は居たけど、前倒しで商品を得意先に持って行ったり、自分の得意先以外の所にも電話が掛かれば対応して行っている。


私は溜まっている先月分の伝票を整理して、伝票に穴あけパンチをして紐を通して私の席なきの後の棚になおした。


この作業って普段は中々、出来ないから土曜日に必ずしている。


土曜日はバタバタしなくていいから倉庫に行ってオムツを補充したり、マスクや手袋、足りない商品はファックスで注文依頼をする。


私は少し休憩する為にコーヒーを入れて自分の机に置くと、引き出しに入れているクッキーを取り出して食べた。


すると突然、事務所の扉が開いた。


「お疲れ様!あっ、桃ちゃん休憩してたんだ?ちょうど良かった、これ桃ちゃんに持ってきたから食べて!」


来たのは社長の奥さんだった。


社長の奥さんも土曜日ち月一で電話当番で会社に来ている。


ウチの会社は医療や介護だけしゃなく、酸素やガスも扱っている。


事務所は別なんだけど、電話を受ける事もたまにある。


奥さんはとても優しくて大好きだ。


「あれ?大和は外出?」


何故か奥さんは大和の事だけは呼び捨てだ。


大和もまるで自分の母親と喋っているみたいな感じで接していて、奥さんも息子さんがいるみたいなんだけど、大和に対して息子さんみたいな感じで接している。



患者さんの命を守る為に必要だから、休みの日でも電話が掛れば病院に持って行ったりしてるみたいだ。


「大和はまだ得意先に行っていて戻ってきてませんよ?」


「じゃあ大和のは机に置いといて先に二人で食べちゃお!」


そう言ってくれたのは美味しそうなカステラだった。


長崎からのお土産らしい。


私は奥さんの分のコーヒーを入れて二人でカステラを食べた。


一口食べると甘くて美味しくてコーヒーに合う。






< 27 / 90 >

この作品をシェア

pagetop