その結婚、ちょっと待った!
「お待たせしましたぁ〜」
元気のいい声で持って来たアルバイトの男の子と目が合うと、私もその男の子も顔を見て目を見開いた。
「あれ?桃ちゃんだよね?」
「てか健太だよね?」
懐かしい顔に思わず頬が緩んだ。
「凄く久しぶりだね?昔から桃ちゃんは綺麗だったけどあの頃より学生の頃よりさらに綺麗になったよね!」
「お世辞はいいって!健太は今は大学生?」
「うん!大学から近いからここでバイトしてんだ!由佳が桃ちゃんが働き出してあんまり帰ってこないから寂しいってこの前にたまたま会ったらそう言ってたよ?
じゃあ俺は戻るからごゆっくり!」
そう言って健太は戻って行った。
健太とは幼馴染で私よりも年下なんだけど人懐っこくて可愛い弟みたいなもんで、久しぶり見たら格好良くなってて驚いたけどね。
それに由佳は私の妹で高校生なんだけど、お姉ちゃん子だから寂しがってるのか…。
たまには実家に帰ってみようかな?
私が懐かしんでたら前から不機嫌な声が聞えた。
「随分と親しいみたいだったけど誰だよ?」
「今の子は健太って言って幼馴染なんだ。
弟みたいな感じかな?
一人暮らしをしだしてからはもう会ってなかったから久しぶりに会ったんだけどね。」
「ふぅーん、幼馴染ね…」
幼馴染だと説明しても大和はまだ不機嫌のままだ。
「お前は俺を嫉妬させるのが好きみたいだな?さっきの元彼でもそうだけど、まだアイツと付き合ってる時はどれだけ気持を抑えたか分からないくらいだったし、さっき言いたいこと言ってスッキリしたと思えば今度は幼馴染かよ!」
だからただの幼馴染なんだけどな…
私は苦笑いしか出来なかった。