その結婚、ちょっと待った!
昼食を食べ終わりまたバスにのり宿泊する旅館へと向った。
複雑な気持ちのまま旅館に着いて、女性社員は同じ部屋で皆で泊まり、男性は二つの部屋に別れ、社長と奥さんだけは一緒の部屋に泊まる。
旅館に着いて自分達の部屋に行くと一週間前を思い出した。
あんなに楽しくて幸せな時間が今はこんなに辛いなんて…。
また涙が出そうになったから、夕食の宴会までの時間に温泉に浸かる事にした。
温泉に浸かると少し気持が落ち着いた。
その時に真尋が隣にやってきた。
「桃華…本当に私と大和が結婚しても大丈夫?」
「い、いきなりどうしたの?」
「だって桃華、すごく悲しそうな顔をしてるから…本当は大和の事」
そう真尋がいいかけて私は遮るように言った。
「何言ってるの?大和と私は別れたんだよ?
それに真尋と大和は納得して結婚するんだよね?結婚式にはちゃんと出席するし祝福するんだから私の事は気にしないで?」
「桃華…」
それ以上は何も真尋は言わなかった。
それに私が真尋に大和の事がまだ好きだと言った所で、皆の前で結婚を発表した大和の決意は固い筈だ。
大和の性格から言って有言実行するタイプだしね。
それに私が好きだと言ったら真尋は結婚を辞めてしまうかもしれない。
真尋だって大和と結婚したいと思ったから結婚を決めた筈だ。
私の想いは胸に秘めなきゃ真尋は幸せになれないから…。
「さぁ…今日の夕食は何かな?
昼間に飲んでないから夜は飲むよ!」
「う、うん」
私がそう言うと真尋は頷いた。