『それは、大人の事情。』【完】
「……こず……え、梢恵?」
「んんっ……」
薄っすら目を開けた私は、一瞬、ここがどこか分からず辺りを見渡していた。
「帰って来たんだな。おかえり……梢恵」
「……真司さん」
私の顔を覗き込む真司さんの顔を見て、あぁ、そうだ。マンションに帰って来てたんだと思い出す。
「ちゃんと、俺との約束守ったな。いい娘だ」
いつになく優しい顔をした真司さんが私の頭をクシャと撫で、ご褒美だとばかりに額にキスを落としてくる。
「勝手言ってごめんね」
「……いや、楽しかったか? 同窓会」
首筋に唇を這わせながらそう聞く彼の手は、私の胸を大きく揉みしだき、もう片方の手はスカートを捲り上げていた。
えっ……今?
「う、うん、楽しかったよ。それよりどうしたの? 帰って来たばかりなのに……」
戸惑い、少し抵抗する素振りを見せたとたん、強引に腕を押さえ付けられ激しく唇を奪われる。
「梢恵の顔を見たら、どうしても欲しくなった。いいだろ?」
一応、私の気持ちを確認するみたいな事を言ってるけど、もう既に下着だけの状態。どうやら私に拒否権はない様だ。
彼は何度も「愛してる」と呟き、貪る様に激しく愛撫すると、切なげな表情で私の中に入ってくる。ジワジワとせり上がってくる快感に、いつしか私も息を弾ませ甘い声を漏らしていた。
これでいい。私を抱いていいのは、この人だけ。私が抱かれていいのは、この人だけ。
そして、愛していいのは、この人だけだ……