ふたりの薗子
図書館に着き、僕は
どきどきしながら
薗子の姿を求めた。
ある予感を以て。

構内に立っている、
大きなけやきの木の下、
昭和の香りを残すような、
コンクリートの建物....。


-----見当たらない。


すこしためらったが、
薗子に電話を掛けた。


回線は直ぐにつながり、
薗子の楽しげな声が

「あ、今どこ?私、
木の下にいるの。けやきの。」


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