ふたりの薗子
部屋の扉上には、黒い板に
白いペイントで
部屋の用途が書かれている。

「看護婦詰所」「医師控室」
「薬品庫」.....

表記の仕方がいかにも
時代を彷彿とさせる。


そのひとつ「個人室」と書かれた
扉の前で汀子は立ち止まり、
扉を開く。
重厚そうなマホガニーの扉、
真鍮のドア・ノブを開き
汀子は、どうぞ、と
僕に入室を促した。
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