彼女は僕に恋をした。
ある日、ななみは言った。




「ねえ、要君、私ね、明日、家に帰ることにしたんだ」




まだ、ふかふかのベッドだって買えてないのに。僕はびっくりして、ななみを見た。





「三月は、なんとかやっていけてると思うから、もう家に帰る」




「そんなこと、言われたって、僕はまた一人になっちゃうよ、寂しいのはもういやだ」




「大丈夫だよ、要君だったら、ちゃんと道を間違えずに、進んでいける」




ソファで丸くなったままの姿で、ななみはそっと、僕に手を差し伸べた。


冷たくて、ちょっと気持ちいい指で、僕の頬を撫でた。



「ななみがそういうんだったら、僕には止めれないけど」



そう言って僕は、隣のベッドに寝転んだ。
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