彼女は僕に恋をした。
「私、まだ三月の彼女なの?」



愛の目は、赤く染まっていた。



僕はしばらく、言葉を捜した。




「愛がそうしたいなら、それでいいんじゃない?」




「投げやりすぎるよ、そんなの」




「好きで好きでしょうがないと思ってるよ、家を出てからも、愛のことばかり考えてた」




僕は愛の目を見て、そう言った。



「うそつき」


愛はそういいながら、僕の唇に、彼女の唇を重ねた。



レモンの香りがした。



生きている女の子の匂い。ななみとは違った。




僕は急に悲しくなって、言葉を失った。
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