彼女は僕に恋をした。
生きていくことに罪悪感を感じた。


頑張ることに嫌悪感がある。



でも、それでも日々は過ぎていくし、時間は待ってくれない。



家出した僕を心配して、両親は実家近くにアパートを借りてくれた。一緒に暮らしたくない僕の気持ちに、気がついていたみたいだ。


お母さんのことは嫌いじゃないけど、たまに、ひどく孤独な気持ちになる。弟や妹を見るお母さんのまなざしと、僕に対する遠慮しながらも大事にしてくれる感じの落差が、くすぐったい。


お父さんは、僕に立派な大人になってほしいと思っているみたいだ。早く独立して、心配かけないようにしないといけない。



どちらにしても、家出から戻ってきたとき、二人は怒らなかった。ただ、とても喜んでいた。きっと、どこかの樹海で野たれ死んでいるとでも思ったんだろうな。



僕は、それほど弱くはないのだけど。



彼らは僕のことは何もわからないようだ。きっと宇宙人のように思っているんだろうな。
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