彼女は僕に恋をした。
現実は、僕が思っていたより、厳しかった。



保証人がいないと、住む場所も、仕事も見つからなくて、望んでいたような、かっこいい仕事なんか、つけなかったから、このコーヒーショップで働き始めた。



低賃金の仕事は、人手不足だから、履歴書には、適当な職歴を書いておいたけど、調べもしないで採用してくれた。




今住んでるぼろぼろの木造アパートだって、お金を前払いしたら、なんとか住まわせてくれた。




そうして僕は、私立高校を卒業したての、バイトもしたことの無い、何不自由ない生活から、開放された。



受かっていた大学の入学資格がどうなったか、知らないし、どうでもいい。



< 5 / 19 >

この作品をシェア

pagetop