それは、小さな街の小さな恋。
だんだん身体から痛みが去っていく。
どんどんと心地良さが勝ってきて、もう怖さなんて忘れてしまいそう。
何だろう。この安心感は。
このまま、身を任せても良いとさえ思えてしまうこの安心感は。
子供をあやすように撫でていた俊ちゃんの手は、気づけば私の髪を梳いている。
愛おしそうに自分の顔へと近づけて。
あれ?でもなんだか、いつもと何かが違う気がする。
疑問に思ったそのとき、俊ちゃんの手は私の耳をくすぐった。
その仕草は、なんだか、まるで。
恋人にするみたいだ。
そう思い至ったら、耳に熱が集まってきた。
きっと今、私の耳は真っ赤。それどころか身体が熱い。