それは、小さな街の小さな恋。
ーーーーガラ。
突然聞こえた病室の扉が開く音が、私たちの動きを止めた。
それから、ベッドに近づいてくる気配がして二人とも反射的に離れる。
「あら、俊也来てくれてたの?かのちゃんもまた居たんだね。」
リハビリ帰りの初子ばあちゃんの嬉しそうな声が、なんだか無性に居た堪れなくて苦笑いを作ることしか出来ない。
なにをしようとしていたんだろう、私達。
慌ててベッドの上から降りると、背中を向けてしまった俊ちゃんの顔をそっと覗き込む。
え、なんでそんな顔をしてるの?
私と全く同じように戸惑っているような顔つきで、さらに耳まで真っ赤にさせている。
その顔を見てなんだかますます混乱してきた。