それは、小さな街の小さな恋。
「嫁いでる、とか?」
「指輪嵌めてなかったのよ。」
「あんた、よく見てるわねー。」
「私だって結婚してる時嵌めてなかったし。」
「それは仕事柄でしょ?こんなにしょっちゅう来てるんだから仕事はしてないって。」
一応してますが。
相変わらずモテるな、俊ちゃん。
学生の頃からそうだった。
今だって。
30代くらいかな。俊ちゃんより少し下か、上くらい。
そんな綺麗な看護師さんにこんな風に噂されて。
訳のわからない焦りのようなものが、身体の底の方から湧いてきて、足早にその場を立ち去った。
私、どうしちゃったんだろう。