それは、小さな街の小さな恋。
バレないように物陰に隠れながら伺うと、40代くらいの綺麗な女の人が居た。
「俊也、先月家に帰ってくるようにメールしたでしょう?」
あれ?この会話って…。
「帰るって…。俺の家はあの街にあるばあちゃん家だよ。今更俺に何のようだ、母さん。」
やっぱり。
今、俊ちゃんが話しているのは、俊ちゃんのお母さんだ。
俊ちゃんのお母さん、初めて見た。
すごく綺麗なひと。俊ちゃんくらいの子供がいるようにはとても見えない。
「取り敢えず、一回お父さんときちんと会って話して。」
「何を話す必要があるんだ。父さんの病院は継がないってちゃんと断っただろ。」
え?なに、この会話。
父さんの病院…。
「俊也、あなたうちの病院を継ぐために医者になったんじゃないの?」
俊ちゃんのお父さんって、お医者さんだったの?