それは、小さな街の小さな恋。
目の前には、突然うちに訪れた俊ちゃん。
そして、ほかほかの栗ごはん。
「お!栗ごはんか。いいな。あ、そういえば、昨日の入院食栗ごはんだったよ。ばあちゃんが喜んで食べてた。」.
そう言って栗ごはんを頬張る俊ちゃんは、なんというか普通だ。
もしかしてこの前の事は、今日の事は夢だったのかと思うくらい。
その変わらぬ距離感に安心するとともに悲しくなる。
俊ちゃんは、私には自分の家の話をする気はないらしい。
お母さんのこと、お父さんの病院に誘われていること。
だから私は、何も気にしてないふり、何も知らないふりをする。
いつも通りを一生懸命装う。