それは、小さな街の小さな恋。
ネギと本心。
初子ばあちゃんが病院から帰ってきて一週間ほど経つ。
あのあと、タイミングが良いのか悪いのか病院に呼び出されてしまった俊ちゃんは何度も足を止め、振り返りながらもうちを出て行った。
それから、また俊ちゃんとロクに口をきかない日々が始まってしまった。
どうしたんだろう、私達。
いつから、こういう風になってしまったんだろう。
今まで、喧嘩したってすぐに仲直りしてた。
こんなにこじれたのは初めてで、どうやって元に戻せばいいのか分からない。
そもそも何でこんなにも落ち込んでしまっているのかも分からない。
『かの、結婚しないか?』
あの冗談を言っているとは思えない真っ直ぐな瞳。あれは、そこそこ本気だったはず。
それがなんだか無性に嫌だった。
冗談だった方がマシだった。