それは、小さな街の小さな恋。
「藪下、このあと時間あるか?」
「え?…診療時間が終わったあとなら。」
「今は昼休みか。ならちょうどいいや。俺も店終わるの7時過ぎくらいだから、よかったら飲みにでも行かないか?前に飯行こうって言っといてそのままだったしさ。」
「そう言えばそうだったね。」
夏祭りで会ったとき、そういう会話をした気がする。
「どこに行く?」
「藪下、どこか良いところ知ってるか?俺、まだいまいち分からないんだよな。」
「あ、それなら商店街の近くに最近できた美味しい焼き鳥屋さんがあるよ。」
「お、いいな。そこにしよう。」
「うん、じゃあ7時過ぎくらいにここに来ればいい?」
「ああ、悪いな。楽しみにしてるよ。」
富澤君と思わぬ約束をかわすと、ネギたちを受け取った。