それは、小さな街の小さな恋。
肉じゃがと二人の気持ち。
とても築30年には見えない外装だけは立派なこのアパートの2階、左から2番目が俊ちゃんの部屋だ。
ぼんやりと光る街灯の下で俊ちゃんの帰りを待つこと2時間。
なにやってるんだろう。思い立って来たはいいが、計画性がなさ過ぎた。
今夜帰ってくるかの確認もとっていなければ、来ていることを伝えてもいない。
最初は居たらいいな程度の気持ちでインターホンを鳴らし、居ないので場所をかえ、少しだけ待って居ようと思った。
それが、色々と考えている間に2時間だ。
スマホの待ち受けで時間を確認すると21時。
出直そう。そう思い、街灯の白い円の中から一歩出ると、
「かの?」
明らかに疲れた顔をした俊ちゃんが帰ってきた。