それは、小さな街の小さな恋。



たくさんの医学書とシングルのパイプベット、あとは散らかった洗濯物。

必要最低限のものしか置いてないこの部屋は、まさに寝るだけのために存在している。


「飯食ったか?」

「ううん、まだ。」


突然の問いにそう答えると、盛大なため息が聞こえた。

どうやらもの凄く呆れているらしい。


台所で何やら作業をし始めた俊ちゃんをリビングから眺めていると何だか不思議な気分になる。

いつもなら立ち位置が逆だ。


そんな呑気なことを思っていると、ドンと机に器が置かれた。

軽く湯気を立てているその中身は肉じゃが。


「惣菜で悪いけど。」


そうだよね。一瞬、俊ちゃんが作ったのかと思ってびっくりした。

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