それは、小さな街の小さな恋。


「こんにちは。あら、美雨ちゃんどうしたの?」


入ってきたのは、お孫さんを連れたおばあちゃん。


この二人は、この街の住人で予防接種などもここで受けてくれるためよく知る顔の友竹薫さんと孫の美雨ちゃんだ。


くまの絵柄が可愛いマスクをはめた美雨ちゃんの姿を見ると、患者さんはどうやら美雨ちゃんのよう。


「なんか風邪ひいちゃったみたいで、少し熱があるのよ。」


おばあちゃんに手を引かれる美雨ちゃんは、確かに耳が真っ赤だが、マスク越しにも分かるにこにこ笑顔。


これは、学校お休みできたからテンションが若干上がってるな。

握ったおばあちゃんの腕を楽しそうに揺らしている。


「お熱はかろうか。」


そんな美雨ちゃんをソファーへと促しながら体温計で熱をはかる。

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