それは、小さな街の小さな恋。
それに違和感を感じたということは。
俊ちゃんが私と同じ気持ちなんじゃないか。
そう期待し始める気持ちを必死に抑える。
取り敢えず、俊ちゃんの言葉をきちんと聞こうと、膝の上に落としていた目線を俊ちゃんへと上げる。
すると、俊ちゃんはまだ一口も口をつけていなかった麦茶を一気に煽った。
そして、私の目を真っ直ぐと見据えて言葉を紡ぎ始める。
「今まで、辛いことがあったり、泣きたいときは一番に俺のとこにきてただろ。
嬉しいときもそうだ。一番最初に俺に報告してくれる。俺はそうやってお前のことを一番近くで見て、励まして、一緒に喜んで。
それで、いいと思ってた。けど、あの日お前に触れてから、それだけじゃ足りなくなったんだよ。妹なんかじゃなくて、もっと近くにいて欲しいと思ったんだよ。」
あの日。それは、お稲荷さんを持っていったあの日のことでいいのかな。
ああ、私たちって一緒に育っただけあって、やっぱりなんだか似てるね。