それは、小さな街の小さな恋。
「私も、それだけじゃ足りない。」
すごく短い言葉。
俊ちゃんが伝えてくれた言葉には到底届かないようなシンプルな言葉。
だけど、これが今の私の精一杯だ。
目の前で、驚いたようにでもとても嬉しそうに笑っている俊ちゃんには充分に伝わっているみたい。
さすがだな。
「結構勇気出してプロポーズしたのに、お前に泣かれるから、本当にショックだったよ。」
そう不満気に吐き捨てる俊ちゃんは、私の分の麦茶にまで手をつけ始めた。
「だって!それは、俊ちゃんが、『お互い悪くないだろ』とか『上手くやって行けると思う』とか全く愛のないこと言うから!」
「今更お前に好きだの何だの言うのが恥ずかしかったんだよ。分かるだろ?」
「なにそれ。」
分かってたまるか。どれ程傷ついたと思ってるの。