それは、小さな街の小さな恋。
まだまだ文句を言ってやろうと身を乗り出すと、先にやり返されてしまった。
「お前はどうなんだよ。」
テーブルに頬杖をついて、意地悪い微笑を浮かべながら聞いてくる俊ちゃん。
「かのは俺にそういう事言えるか?というか、お前こそ俺のことどう思ってんだよ。」
「え?」
休まずやってくる俊ちゃんの攻撃に手も足もでない。
さっきの短い言葉じゃあダメだった?
でも、今の私にそれ以上は言えない。
「養子縁組で兄妹になるのは嫌だ。」
「なんで?」
「意味分かってるくせに。俊ちゃんこそ、ちゃんと言ってよ。」
「俺は今さっき結構なこと言っただろ?あれ以上のことを俺に言えってか。」
もう一生言わないと、俊ちゃんはかたくなに口を閉じてしまった。
一生言ってもらえないのは嫌だけど、それはそれ程の重みだということで。
心の底から嬉しい。
調子に乗りすぎかもしれないけど。