それは、小さな街の小さな恋。


「一回しか言わないけど、俊ちゃんのこと好きだよ。兄としてとか、幼馴染としてじゃなくて。」


俊ちゃんの誠意ある言葉に免じて、勇気を出しそう言うと、満足そうに笑って、なんで1回しか言わねんだよと怒られた。


だって、今まで幼馴染だ、兄だ、と自分の気持ちを誤魔化し続けていた私には、この言葉はすごく重いのだ。



「本当は俺、究極のおばあちゃんっ子だぞ。いいのか?」

「知ってるよ、それくらい。」


初子ばあちゃんを誰よりも大事に思っている、優しい人だということくらい知ってるよ。


「本当は私、結構ファザコンでマザコンだけどいいの?」

「知ってるよ、それくらい。」


知ってるんだ。

マザコンはそうだけど、ファザコンはまだ自分でも認めてない節があるのにな。


「俺以上にかののこと知ってる奴も、かの以上に俺のこと知ってる奴もいないよ。」

「そうだね。」


大二郎さんとばあちゃん除けばな、と俊ちゃんが付け加えたので思わず2人で笑ってしまった。


それは、これからも。

いや、これからはお父さんや初子ばあちゃんを超えられといいな。


俊ちゃん、憧れの『大二郎さん』超えて見せてね。

私も、大好き『初子ばあちゃん』を超えてみせるから。



< 143 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop