それは、小さな街の小さな恋。
「一回しか言わないけど、俊ちゃんのこと好きだよ。兄としてとか、幼馴染としてじゃなくて。」
俊ちゃんの誠意ある言葉に免じて、勇気を出しそう言うと、満足そうに笑って、なんで1回しか言わねんだよと怒られた。
だって、今まで幼馴染だ、兄だ、と自分の気持ちを誤魔化し続けていた私には、この言葉はすごく重いのだ。
「本当は俺、究極のおばあちゃんっ子だぞ。いいのか?」
「知ってるよ、それくらい。」
初子ばあちゃんを誰よりも大事に思っている、優しい人だということくらい知ってるよ。
「本当は私、結構ファザコンでマザコンだけどいいの?」
「知ってるよ、それくらい。」
知ってるんだ。
マザコンはそうだけど、ファザコンはまだ自分でも認めてない節があるのにな。
「俺以上にかののこと知ってる奴も、かの以上に俺のこと知ってる奴もいないよ。」
「そうだね。」
大二郎さんとばあちゃん除けばな、と俊ちゃんが付け加えたので思わず2人で笑ってしまった。
それは、これからも。
いや、これからはお父さんや初子ばあちゃんを超えられといいな。
俊ちゃん、憧れの『大二郎さん』超えて見せてね。
私も、大好き『初子ばあちゃん』を超えてみせるから。