それは、小さな街の小さな恋。
商店街の皆はというと、どこから聞きつけたのか、おめでとうの嵐だ。
お肉屋さんでは、お祝いと言ってコロッケを渡され、鮮魚店では鯛をもらい、終いには富澤八百屋で野菜の詰め合わせまで貰ってしまった。
富澤君はというと、何やら花屋のお姉さんといい感じで私も安心しているところだ。
そしてここ、藪下診療所は報告した途端お祭り騒ぎだった。
来年からは、俊ちゃんがずっとこの診療所にいるのか、って万歳三唱する勢いで皆喜んでいた。
この1ヶ月でなにもかもが変わってしまった。
「まだ私、急展開すぎてついていけてないんですよね。」
ついつい加代さんに愚痴をこぼしてしまうこともしばしば。