それは、小さな街の小さな恋。

「ばーか、お前にだけだよ。」


心底馬鹿にしたような顔でそう言われた。

普通なら甘い言葉のように取れる言葉だが、この男が私に甘い言葉なんて吐くわけがない。


「他の女には、ちゃんと神経使って褒めたおすよ。」


ほらね。普通に馬鹿にされた。


「お、隆弘のとこの次女か。」


握った拳をわなわなさせていると、いつの間にか机に向き直った俊ちゃんはもうさっきの暴言なんてなかったことだ。


腹立つ。


「かの、患者さん通して。」


本当に腹立つ。