それは、小さな街の小さな恋。
「ねえ、俊ちゃん。」
「ん?」
「今日、お父さんの代打してもらった分は初子ばあちゃんに預けとくからね。」
「いらねえって。」
「いやいやいや。」
そんなわけに行かないでしょ。
「そんなことより、腰もして。」
「腰?」
ていうか、そんなことって。大事なことだって言うのに。
反論しようとすると、俊ちゃんがそのまま畳の上に寝っころがってしまったから、私も渋々その上に跨る。
「大二郎さんいつ帰ってくるんだ?」
畳に寝そべったまま、近くにあった新聞を自分の方に引き寄せて読み始めた俊ちゃんはもうさっきの話に戻すつもりはないらしい。