それは、小さな街の小さな恋。
小さい頃からこの時期になると皆で縁側に集まってこうして梅の実のヘタ取りをする。
意外にも手先が器用な俊ちゃんは、初子ばあちゃんに次いで早く、その次に早かったうちのお母さんといつも競争していた。
懐かしいな。
今日は俊ちゃんの病院も日曜日で休診ではあるけど、イコール休みではない俊ちゃんは不参加だ。
「紫蘇は来週くらいかな?」
「そうねえ。」
そう言うお父さんと初子ばあちゃんの視線の先には畑に育った赤紫蘇がある。
まだ葉の小さな赤紫蘇は、来週が収穫にはちょうどいいだろう。