それは、小さな街の小さな恋。
トマトとみょうが。
梅雨があけ、ぐんと外の温度が上がった7月。
蝉の声が耳につき始めた。いよいよ夏本番。
この季節、この街の商店街は夏祭りの準備で活気付くのだ。
営業時間を終え、シャッターを閉めた商店街の皆は集会所へと集まりだす。
男の人はビール片手に神輿の土台を作り、女の人は旦那の愚痴をこぼしながら袢纏や鉢巻などを新調したり繕ったり。
うちのお父さんはというと、ほろ酔いで釘を打ち、打ち身になった豆腐屋のおじさんの腫れた指に大笑いしながら湿布を貼るのは毎年の恒例行事のようなものだ。
私は子供神輿の衣装作りのお手伝い。
今年は女の子の衣装を一新するらしく、ママさん達が盛り上がっている。