それは、小さな街の小さな恋。


「あ、ちょっと!」


俊ちゃんのそういう所は何処から来たのかと考えていると、いつのまにか薬味が私の春雨サラダの上にのっていた。

なんでそこに退けるの!


「お前のトマトいつも食ってやるだろうが。」

「子供のころの話でしょう?もう平気だもん。」

「嘘つけ。お前が飯作るとき、大体トマト入ってないじゃねえか。」

「うっ。」


ばれてたか。

確かに、今だにまだトマトを食べられない私は不自然なほど料理にトマトを使わない。

だって、あの食感がどうしても苦手なんだからしょうがない。

あの、青臭い汁が口の中に広がるのがどうしても無理だ。


「ただいまー。」


トマトが口に広がる感覚を思い出し、ぶるりと体を震わせたとき、ちょうど初子ばあちゃんが帰ってきた。

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