それは、小さな街の小さな恋。
「おかえり。」
「おかえりなさい。今日の作業はもう終わったの?」
「うん。皆お開きになったよ。」
「あれ、お父さんは?」
お開きになったはずなのに、お父さんの姿が見当たらない。
うちに直行したのかな。
「大ちゃんは豆腐屋のせがれと出かけて行ったよ。」
「え!ほんとに?」
今の時間から出かけていくなんて。
まあ、明日はお休みだからいいけど。
「初子ばあちゃん、お腹空いてない?」
「集会所で食べたから大丈夫。お風呂入ってくるね。」
汗掻いちゃった、と今まで働いていたはずなのに軽い足取りでお風呂場に向かう初子ばあちゃんは今年で80歳とは思えない。
元気だな。
でも、まだまだ元気でいてもらわないと困るけど。
あ、意外と薬味のせ春雨サラダおいしいな。