それは、小さな街の小さな恋。
すっかり置いていかれてしまったので、私も慌ててお米をセットし俊ちゃんを追いかける。
おっとと、梅酒を忘れるところだった。
シンクに置かれた梅酒は、並々と注がれていて氷が入りそうにない。
しょうがないからその場で一口含み、氷が入る余裕を作る。
カラン、と音を立て沈んだ氷は一瞬のうちに上へと浮上し、すこし音を立て溶け始めた。
なんだかそれだけで美味しそうだ。
まあ、初子ばあちゃんの作った梅酒は本当に美味しいんだけどね。
梅酒の入ったグラスを持ち台所を出て俊ちゃんの姿を探す。
居た。
今日はどうやら縁側で飲むらしい。