それは、小さな街の小さな恋。



「ほんと?」

「本当だよ。梅ちゃんそっくりよ。」


嬉しすぎる言葉に、思わず聞き返してしまうと、一緒に来ていた初子ばあちゃんが答えた。

その後ろで大きく頷いているのはお父さん。


なんだか急に気恥ずかしくなってきて目をそらすと、その視線の先にはこの祭りのメインであるお神輿が通りを通過するところだった。


先導するトラックの後ろには、婦人会のお神輿。次いでこども神輿だ。

こども神輿の女の子と婦人会の奥様方のお揃いの衣装はやっぱり可愛い。


来年は、男の子の衣装も一新しようか、なんて話していた。


そんな可愛らしいこども神輿の後ろに続くのは、要である町会神輿。


たくさんの人数が取り囲む一際目立つお神輿は、今年も凄く立派で存在感がある。


青年会の有志たちが担ぐ神輿の上では、一生懸命男の子たちが太鼓を叩き続けている。


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