それは、小さな街の小さな恋。
中学2年生のときの修学旅行は、京都へ行った。
2日目の夜、泊まっていたホテルの中庭で富澤君から告白されて付き合いだした私達は、幼いながらも一応恋人同士だった。
でも中学3年に上がり、クラスが別々になり話す機会が減り、少しずつ距離が離れていった。
うちのお母さんが亡くなってからは、特に話さなくなり、気付いたときにはもう富澤君は都内の高校を受験していて。
なんの言葉も交わさずに、私の初めてのお付き合いは自然消滅という形で消えていった。
「藪下、少し変わったな。」
「そう?よく変わらないって言われるんだけど。」
童顔の私は、未だに高校生に間違われたりするっていうのに。
「いや、大人っぽくなったよ。」