それは、小さな街の小さな恋。
結局、俊ちゃんを追い出すこともせず、俊ちゃんの周りを綺麗に避けながら掃除をした。
天気も良いし、ついでに窓掃除もしてしまおうと脚立に乗ったとき、
「おーい、大二郎いるか?」
玄関から声がした。この声は、酒屋のおじちゃんだ。
出ようと脚立から降りようとするけど、なかなか降りられない。金具に洋服が挟まったみたいだ。
「ごめん!俊ちゃん出てくれない?」
「ああ?しょうがねぇな。」
医学書から目を挙げ、少し不機嫌そうな顔を作りながらもようやく俊ちゃんが重い腰を上げてくれた。