それは、小さな街の小さな恋。
俊ちゃんが書斎の扉を閉めたと同時に、服が金具から離れたので急いで俊ちゃんを追うと、玄関にはやっぱり酒屋のおじちゃんが居た。
同世代なのに、お父さんとは全く違う筋肉質な体付きのおじさんはなぜか野球のユニホームを着ていて、俊ちゃんの姿を見ると目を見開いて笑う。
まるで、悪戯を思いついた子供みたいに。
「お!俊じゃねえか!いい所に!」
「は?」
「お前、今日の商店街対抗草野球大会出ろ。」
「はあ?!」
私もびっくりして、俊ちゃんと同時に声を上げてしまった。
その格好を見て、まさかとは思ったけど。