それは、小さな街の小さな恋。


「店番頼んでたうちの馬鹿息子がぎっくりでよ。人が足りねえんだ。」

「いや、無理だって。夜勤明けだぞ?動けねえって。そもそも俺、商店街の人間じゃねえし!」

「いいんだよ。相手だって色んなとこからかき集めてんだ。」


ただでさえ定休日の合わない自営業。

家族や従業員にお店を任せてきた人もいるだろうが、そうは行かない人だって多い。


そうなってくると、大概チームのメンバーは商店街関係者以外のものが必然的に多くなってしまうのは避けようがない。


そんな忙しいなか草野球大会をするこの人達って、なんて元気なんだろう。


まあ、それほどこの街に活気があるってことだからいいけど。


「終わったらうちの家で打ち上げやるからよ。」

「いいって。あっ、おい!」


必死の抵抗も虚しく、あっという間に引き摺られていってしまう俊ちゃん。


さすが、酒屋の大将。力はすごい。

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