それは、小さな街の小さな恋。


俊ちゃんはそんな状態のままこちらを見ると、満面の笑みで拳を高くあげるから、私と八百屋のおばさんはまだ勝ちが決まったわけでもないのに万歳三唱。


そんな盛り上がった雰囲気の中、

ーーピロリン

と鳴ったのは俊ちゃんのスマホ。


え?こんなときに病院から?


握りしめてしまっていたスマホの画面を急いで覗くと、高くなっていた体温が一気に下がっていくのが分かった。


連絡なんて、とってたんだ。


未だ輪の中で喜ぶ俊ちゃんの姿を見て、もう一度画面に目を落とした。


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