それは、小さな街の小さな恋。
黒猫と秋なす。
黒猫は不吉の象徴だ。
信心深い俊ちゃんは、小さい頃から『黒猫が横切ると良くないことが起こる』と執拗に黒猫を避ける。
私がまだ小学生のとき、初子ばあちゃん家の庭に入った黒猫を必死で追い出す俊ちゃんを見て大笑いすると、すごい勢いで怒られたこともあったな。
『黒猫は不吉の象徴なんだぞ!』って。
なんだか、ものすごく黒猫が不憫に思えて同情したのを覚えてる。
あのときの俊ちゃん、本当に必死だったな。
『じゃあ、家で黒猫を飼ってる人はどうするの?』
よく、そんな質問をした気がする。
俊ちゃんは、なんて返してたんだっけ?