それは、小さな街の小さな恋。
あの試合のあと、結局うちの商店街チームが勝ち、祝勝会までしたがそんな気分じゃなくなってしまった私はそのまま家に帰ってしまった。
家に帰るとお父さんが居て、気になって仕方がなかった私は、思い切って聞いてみた。
『俊ちゃんのお父さんとかお母さんって今どこにいるか知ってる?』って。
そうするとお父さんは少し難しい顔をした。
『俊の父親とは家が近いのもあって、中学までは仲よかったんだけどな。高校に入ってあいつが家を出ていってからは、あんまり会ってないんだよな。あいつ、結婚式にも呼んでくれなかったし。』
そうだった。俊ちゃんのお父さんも当然、この街で育って、家が近いお父さんとは幼馴染。
まあ、うちのお父さんの方が一学年上だったみたいだけど。
『俊をこの街に置いてったときには、何度か話付けに行ったけど取り合ってもらえなかったしな。』