それは、小さな街の小さな恋。


『それからはもう全然会ってないな。』と呟いた父の顔は、呆れたような、悲しいような複雑な顔をしていてそれ以上は何も聞けなかった。


俊ちゃん、定期的にお母さんと会ったりしてるのかな。

でも、俊ちゃんの連絡先を知ってるってことはそういうことなんだろうか。


直接聞けばいい気もするけど、なんとなくこの話は聞かない方がいい気もして。


なんだかモヤモヤとした気持ちのままこの何日かを過ごしてしまった。


加代さんにも、『どうかしたの?』って聞かれるくらいにはこの前の出来事に気を取られていたらしい。


俊ちゃんのことなら、なんでも知っているような気がしてたけど本当はそうじゃなかった。


大事なことは、なにも知らない。


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