それは、小さな街の小さな恋。


なかなか涙の止まらない私と手術室前のベンチに腰掛け、肩を抱き『大丈夫だ。』と言い続けてくれた。


私、なにやってるんだろう。

不安なのは、泣きたいのは俊ちゃんのはずなのに。

こんなときまで、俊ちゃんに支えてもらって。情けない。


本当に、自分が弱くて大嫌いだ。




約2時間の手術が終わり、執刀してくれた先生が出てくると俊ちゃんに術後の説明をするためどこかの部屋へと消えてしまった。


私は初子ばあちゃんのいるICUへと急ぐ。

ベッドに横たわった初子ばあちゃんは、麻酔の影響であと数時間は目を覚まさないらしいが、状態は安定していて明日にはICUも出れそうだと看護師さんが教えてくれた。

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