それは、小さな街の小さな恋。
結局俊ちゃんは、豆ぱんがあったのにも関わらず残っていたお稲荷さんを全部平らげてくれた。
よかった、よかった。
二人でベットサイドに座り、窓の外の景色を何となく見ていると、秋空が広がっていて何だか眠くなってくる。
ああ、平和だな。
ふと隣の俊ちゃんを見ると、俊ちゃんも眠そうな顔をしていた。
疲れてるのかな。そりゃ、疲れてるよね。
仮眠の時間削って初子ばあちゃんの様子見に来てるって言ってたし。
俊ちゃんの勤める循環器科は同じ棟だけど階は違う。
わざわざ時間を作らなければ、おばあちゃんには会えない。
無理、してるよね。
「俊ちゃん。」
「ん?」
「肩、揉んであげようか?」
「頼む。」
私の申し出に嬉しそうに答えた俊ちゃんは、さっそく白衣を脱いだ。