それは、小さな街の小さな恋。
ベットの上へと上がり、俊ちゃんの肩もみ開始。
おお、また随分と凝ってるな。
この前以上に固い。
なかなか指が入らなくて、私まで肩が凝りそうだ。
体感的には10分以上経ったとき、俊ちゃんが静かに私の名前を呼んだ。
「かの。」
「なに?」
「ありがとな。」
「…どうしたの、急に?」
俊ちゃんに素直にお礼を言われると、なんだかむず痒い。
「いや、実際すげえ助かってるからさ。」
「いいよ。私は初子ばあちゃんに会いたくて来てるだけなんだから。」
そうか、と俯く俊ちゃんの表情はここからでは全く見えなくて。
なんだか不安になってくる。
ねえ俊ちゃん、今何を思ってるの?
私に、悪いなんて思わないでね。
うちのお母さんが入院してるとき、俊ちゃんは何度も病院に来てくれた。
俺はただ梅子さんに会いたいだけなんだって。
私もそうなんだよ。