ラプラムル
第97章ー黒姫ー
3月の初め、黒い髪で灰色の目の姫が生まれなさった。
人々は“黒姫”と呼ぶ。
ラプラムル法1条に基づいて1週間後の明朝、ナナセルの海岸から木箱にお乗りになり、旅立たれた。
方に則り、亡骸は探されることはない。
毎年、姫の誕生の日には追悼の儀が取り図らわれると決められた。
ナナセルの砂浜から、大きな煙が吹かされる。
姫の処刑からというものの、王妃は少し病気がちだという噂もある。
たいへんお嘆きになっている。
次期の話というものはまだ何も決まってはいないようだが、いまの両陛下には親類はおらず、次のお子がお生まれにならない限り、ラプラムルの血が絶たれてしまう。
今までになかった、この次期代への不安は高まっている。