ラプラムル
「あぁ、セゼリア、久しぶりだな」
家に入ると、本を読んでいたサゼルが目を上げて笑いかけた。
いつもこうやって大人しく本を読んでいれば博識高く見えるのにな。なんて。
「どうしたんだ、セゼリア。ニヤニヤして。」
「なんでもないわよ。それより何を読んでいるの?またあの剣士の物語?」
「違うよ。ラプラムル王室の本。すこしまえからなんだかすごく興味があるんだ。」
……驚いた。
サゼルも?同じことを考えていたの?
「……セゼリア。野原に行こう。」
母親が素知らぬ顔で聞き耳を立てているのに気づいたサゼルに手を引かれて、家の裏の広い野原に出た。