ラプラムル
“親愛なる我が息子、サゼルへ


お前がラプラムルの王室について詳しく知りたがるなんておかしなもんだな。
大抵その手のものは興味が無いとか言っていただろう。

まあ、それはおいておくとしよう。


単刀直入に言えば、今のラプラムル王国はおかしい。

ラプラムルのの血を継ぐ姫が死んだことで後継者はいなくなった。つまり、初代国王、ラプラムルの血が途切れる。

無論、また子供が生まれればいいのだが、今のお后様にご懐妊の兆しはない。
まだ若いからなんとも言えんが、きっともう子供は生まれんだろうな。

こうやって世間が不安定になると必ず民衆は不満や不平を言うようになる。

そして筋の通った自論を持つものはそれについてくる集団を作る。

反国集団だな。

国に抗い、自論を持ってして何かを要求する。


今回もそうなりつつあるな。
しかしこれが困ったことでな。
今、巷で話題の集団〖 スタキラン〗の自論はこうだ。

「すべての過ちは姫の処刑だ。規則に則り法に従ったがゆえに王家の血はまもなく断絶を迎える。黒髪灰眼を、国を滅ぼす反逆者と称して根絶やしにさせ、跡継ぎがいなくなったゆえに国がなくなる。
これほどの愚かな失態はない。

あの時姫を殺すべきでなかった!」

とまぁ。こう過去のことを言われても応えることなんて出来んでな。


なにより初めにも言ったとおり、今この国はおかしい。この次代への不安に乗じて、国王の権威を落とそうとしているものたちがいる。

一部の側近たちだ。

毎週決まった日にこそこそと集まってクーデタを企んでいる。スパイがいることにも気づかずになぁ。
だから大きな権威ではないな。所詮ストレスに塗れた召使たちのお遊びのようなものだ。


しかし、こういう小さな不満の積み重ねがいつか大きな実になってしまう。



そして我が愛しい息子サゼルよ。ここから先に書くのはまだ国王陛下にも伝えてはおらぬ、私の自論だ。


このままではこのラプラムル王国は何年ともたずに滅亡するだろう。

王室に反対するもの達、不満を抱く者達など比ではない。
もっと大きな権威が近づいておる。

気になるなら調べてみろ。

ラプラムル王国が生まれた時についての詩だ。
おかしいとは思わないか。
公式の解釈には胡散臭さが拭えない。

まぁなに、ただの勘だがな。



父より

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