ラプラムル
どうして父はこの本を送ってきたのだろう。
ルファリナの存在になにかヒントがあるとか、そういうことか?
や、まさかルファリナに入れとかはない、よな。
取り留めもなくそんなことを考えながらルファリナについて書かれた数ページを意味もなくピラピラとめくっていると、
ある、重大に思えることに気づいた。
「……待った、これって……」
ルファリナについて書かれたページと、最後の執筆者や発刊日などの詳細が書かれたページとの間のページが飛んでいる。
一ページ分のページ番号がない。
もともと、もう一ページあった、ということだろうか。
父はこれを知っていて送ってきたのだろうか……
しばらく考えて、俺ははっと顔を上げた。
父が一番好きだとよく話してくれた物語に、同じようなシーンがあった。
その物語の中で、父親は息子だけに情報を渡すために破った本の1ページをチェスのコマの中に隠していた。
一つだけ、中が空洞でチェスの底が蓋になっている駒があり、その中に入ったページを、ついに息子は見つけて、最終的に戦いに勝った、という物語を、
何度も何度も寝る前に父に話してもらったのだった。
もしかしたら……
そう思い、俺はこそこそと父親の部屋に入り古いチェスセットから駒を出した。