ラプラムル
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夜は少しずつ明けている。

漆黒だった空に、少しずつ白い光が射していく。



王妃は黒髪のわが子を強く抱きしめ、
明るみはじめる窓の外をぼんやり見つめて
頬を伝う涙を感じていた。

ラプラムルは大きな国ではない。

だから国内の雰囲気は和やかで、
民衆の王家への信頼は強く
とても暖かな国だ。


民衆もみな、姫の誕生を心待ちにしていた。
長年子供ができなかった陛下夫妻だが、深くて熱い愛で乗り越えたんだ。
そう言って王妃のご懐妊を心から祝福した。

姫の誕生日の1週間後の大パーティにむけて少し前から道という道には花が生けられ、弾幕がかけられ、建物には装飾が施された。


けれど

生まれて来た姫の髪は

黒かった

そして生後3日、

うっすら空いた瞳の色は

何もかも飲み込んでしまいそうに

混沌とした

灰色だった。



わが子を見た王と妃は驚愕した。
そして、生誕パーティのために施された装飾はすべて死を表す白のものに変えられ、

たくさんの人で賑わうはずだった海岸は、
刑に処せられる幼き姫を見送る場となった。
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