ラプラムル
「やっと…やっと……生まれてきてくれた子だわ ……なのに…」
王妃は力なく呟いた。
絶望にとめどなく流れる王妃の涙を王は優しく指で拭った。
王妃はおとなしく腕の中で眠る我が子を見て、震える声で言う。
「どうにか…ならないの…ですか?この子は反逆罪などでは…ないわ。私とあなたの…愛おしい娘……。」
「……これも全て、ヴァイアライムと争いを始め、この国に軍旗を掲げさせ、歪んだ国法をさだめた我が先々代の過ちだ。……1度灯された戦の火は、安易に消すことなどできない。我らに出来ることは平和に向かうための国事だけ……だろう。」
「…でも、この子は殺されるために生まれて来たんじゃないわ!……」
王と妃は絶望の中で、さらに夜明けが近づくのを感じた。
しばらくして、ゆっくり部屋の扉が開かれて、臣下が入ってきた。
「失礼いたします、両陛下。……処刑の刻でございます。……」